〈問い〉から始めるアート思考 を読んで
作者はアートディレクターをしています。父が画廊を経営していて、岡本太郎ら著名な芸術家達と幼い頃から交流があったらしいです。実際に芸術家を目の当たりにしてきた人だから語っていることには信憑性が持てます。
アートとは問いである。どんなに汚い絵でも理解不能な彫刻でも作者の問いが秘めてあるのならそれはアートです。逆にどんなに美しい絵でも問いが無ければアートではありません。
アーティストは己の内側にある問いをアートを通じて社会に向け発信します。それがどんな種類の問いでも構いません。問題を解決する為にアートを製作するのではなく、問題を問いかける為にアートを製作します。
アーティストの投げかける問いが社会に波及し、イノベーションを促進します。
美術史はイノベーションの歴史です。宗教画から写実主義へ、写実主義から印象派へ、印象派からシュールレアリズムへ、現状を打破する為にアーティスト達の様々な挑戦がありました。
美術史はテクノロジーに先行してイノベーションを起こしています。ビジネスに応用したり、未来を予測するにはアートを参考にするといいと思いました。
作者は素人でもアートを作ってもいいと言っています。それが頭の中でだけであってもです。
個人的に非常に勇気づけられる言葉でした。私も絵を描くので(とはいってもイラストや漫画の類ですが)日々感じている潜在的な問いを絵を通して発信していきたいです。
この本を読んでもっとアートに触れたくなりました。美術館や芸術祭にできるだけ足を運んでアートを目で捉えて、作品に潜んでいる問いに関して考えてみたくなりました。
私は今2人の子供がいます。まだどちらも言葉もまともに話せないくらい小さいので、もう少し大きくなったら家族でアート鑑賞を楽しみたいです。
アートとは何か、それを子供達になんとか輪郭だけでも伝えられるようになったことが今回の読書の一番の収穫かな、と思います。